緑内障外来を行ってます
当院では毎週火曜日午前中に緑内障の専門外来を設けております。
レーザー治療や白内障手術と同時に行える「iStent」も行っております。緑内障でお困りの方はぜひご相談ください。
担当医師 青木 由紀 医師
これまでに自治医大病院眼科にて緑内障専門医として緑内障診療および手術を担当、さらに緑内障研究に携わってきました。青木眼科でその専門知識を活かし、最新の検査機器、治療機器を導入し大学病院と同レベルの治療が受けられるように対応しております。
緑内障とは
中途失明の原因疾患として最も多い病気であり、初期症状に気付かないケースがよくあります。両目に起こることもありますが、左右の進行に差があると視野の欠けを無意識に補ってしまうためかなり進行するまで気付かない場合もあります。緑内障があっても気付かず、眼科を受診していない方は8~9割にもなるという報告もあります。
緑内障が起こる仕組み
眼球は一定の圧力を保つことで球の形状を保持しており、この圧力を眼圧と呼びます。この眼圧の変化により視神経が圧迫されて障害が起こり、視野が欠けるなどの症状を起こしているのが緑内障です。ただし、緑内障では正常な眼圧で起こる正常眼圧緑内障が7割を占めており、最も多いとされています。
緑内障の特徴
- 中途失明で最も多い原因疾患
- 徐々に視野が欠けていきます
- 初期の自覚症状がありません
- 気付かないうちに進行していきます
- 欠けた視野は元に戻すことができません
- 40歳以上の20人に1人が緑内障だとされています
- 家族に緑内障の方がいる場合、リスクが高まります
- 近視が強い場合、緑内障になりやすいとされています
緑内障の視野欠損
緑内障の代表的な症状は視野の欠けです。視野の欠けは徐々に進み、1度欠損した視野は戻すことができません。そのため、早期発見、早期治療が重要な病気です。
視野の一部が見えなくなりますが、脳が見えていない部分をうまく補ってしまうため、早期発見には眼科できちんと検査を受けることが必要です。
症状が進むにつれて視野の欠けが広がっていき、見えない部分が大きくなって、それでも放置していると失明に至る可能性もあります。
緑内障の分類
1.原発開放隅角緑内障
眼球内に眼圧を発生させているのは、房水(ぼうすい)という液体です。これが一定の経路を流れ続けて眼圧を発生させていますが、その流れの出口である隅角が目詰まりを起こすと眼圧が上昇して原発開放隅角緑内障を発症します。ほとんどの場合、慢性に推移し、視野の欠損はゆっくりと広がっていきます。
2.原発閉塞隅角緑内障
房水の排出を滞らせる隅角の閉塞を虹彩が引き起こしています。急激な眼圧上昇をもたらすケースが多く、その場合には早急な治療が必要になります。急激な眼圧上昇では、目の痛み、かすみ、頭痛、吐き気などが起こりますので、こうした症状があった際にはすみやかに眼科を受診してください。
3.正常眼圧緑内障
日本人の緑内障で7割を占めるほど多い緑内障です。眼圧は正常ですが、他の原因によって視神経に障害が起こっています。
4.発達緑内障
先天的に隅角の発達に問題があって眼圧が上昇して起こります。新生児や乳幼児の段階で発症する早発型と思春期から20代の時期に発症する遅発型などがあります。早発型は発症後に急速に悪化する傾向があり、手術が必要になる場合があります。
5.続発緑内障
ぶどう膜炎、白内障、糖尿病などの眼疾患や全身疾患、目の外傷、治療に使うステロイド薬などの薬剤によって眼圧が上昇して発症します。開放隅角型と閉塞隅角型、どちらの場合もあります。
急性緑内障発作
眼圧が急激に上昇して、目の充血、痛み、頭痛、吐き気といった強い症状が現れる急性緑内障発作は、視力や視野の欠けが急激に進むため、できるだけ早く眼科専門医の診察を受ける必要があります。治療が遅れると短期間に失明する可能性があり、注意が必要です。
緑内障は、視神経に異常が起こる病気で、網膜に映った画像の情報を脳に起こる機能がダメージを受けます。そのため、脳に正確な情報を伝えることができなくなってしまいます。
急性緑内障発作は、外傷や他の疾患によって起こることもあります。また、急激に起こる強い頭痛や吐き気があって内科を受診される際には眼圧の検査も必ず受けてください。
緑内障の治療
眼圧を下げる点眼薬の使用が治療の基本です。眼圧が正常範囲の正常眼圧緑内障でもこの治療は有効です。眼圧を視野障害の進行を抑えられる範囲までコントロールできるよう細かく調整する必要があります。点眼で十分な効果が得られない場合には、レーザー治療や手術による治療を検討します。
点眼薬による治療
症状がゆっくりと進行する慢性タイプの緑内障では、点眼薬で眼圧をコントロールしてそれ以上の進行を抑える治療を行います。
使われる点眼薬は、房水の量産生を抑えるタイプ、房水の排出を促すタイプの2種類に大きく分けられます。房水の排出を促すタイプには、瞳孔を縮めて隅角を広げることで排出を促すもの、隅角以外の場所からの排出を促すものなどもあります。
こうしたさまざまな点眼薬の中から、状態に合わせた最適な点眼薬を選んでいきます。複数の点眼薬や、内服薬を使用する場合もあります。
レーザー治療(レーザー虹彩切開術)
狭隅角や閉塞隅角緑内障の方に向いた治療法です。レーザー虹彩切開術は、急性緑内障発作の予防目的で行います。
閉塞隅角で白内障が進んでいるケースでは、白内障の進行によっては白内障手術を先に行います。ただし、白内障がまだ初期の段階だった場合には、虹彩の端の小さな孔にレーザーを照射する治療法が可能です。
レーザー治療の所要時間は5~-10分ほどで、痛みはほとんどありません。
緑内障の日帰り手術「iStent」
iStent(アイステント)は、長さ1mm、重さ60マイクログラムで非常に小さい緑内障治療用の医療機器です。iStentとiStent inject Wの2種類あります。目の中の組織に埋め込み、眼圧を調整する房水の排出を改善し、眼圧を下げることができます。 iStentは、白内障手術と同時に行う手術です。白内障手術では眼内レンズを挿入するために小さな切開を行います。同じ切開創からiStentを挿入します。個人差はありますが、点眼麻酔を使用するため、痛みを感じることはほとんどありません。傷口が小さいので、術後の回復が早いのも特徴です。また、眼圧が下がることで、点眼薬の使用回数も減らすことができます。
緑内障は早期発見と治療が重要です
緑内障は日本人の失明原因の第1位ですが、薬剤や治療法が進歩しているため、早期発見と治療により、視神経の障害を最小限に食い止め、日常生活を支障なく送れる可能性も十分にある病気です。1度欠けてしまった視野を元に戻すことはできませんので、その意味でも早期発見は重要です。
かなり進行するまで自覚症状が現れないケースが多いため、定期的に検診を受けて、早期発見することが重要になってきます。
そして、緑内障と診断されても、自覚症状がないと点眼を忘れたり、通院を後回しにしてしまい、気付かずに進行してしまうことがよくあります。生涯の眼圧コントロールが必要ですが、根気よく治療を続けてください。